第15回 美味しいものは美味しいねといただく

2025/5/2

梅﨑和子さんのいのちをはぐくむ離乳食講座

 前回、陰陽調和の重ね煮についてご紹介しましたが、冬は身体を温め、夏は身体を冷やす旬の食材を上手に食卓に盛り込むことです。鍋の中は小宇宙、大自然と私たちヒトがひとつに溶け合い、同化していくのです。でも、そんなに細かく陰陽に分けなくてもいいのです。材料が余ったら横の面に入れてもいいし、臨機応変にやっていきましょう。ぬっぺ汁、けんちん汁など日本にはそうした鍋ひとつの料理がいろいろありますよね。

 授乳中のお母さんと離乳食の子どものための鍋でも、お父さんが肉がだめならいちばん上に入れたらいいのです。冷える時には肉を入れると体が温かくなるし、植物も動物もいのちに垣根はありません。動物性がだめとか植物性ならいいということではありません。生きるということの姿はひとつではありません。

 私は「美味しいものは美味しいね」といただいた方がいいと思っています。私の料理教室では「もどき料理」はしません。肉の代わりにグルテンを使ったりもしません。本当の素材の味を食べてほしいからです。肉が食べたかったら、ある程度選択して食べたらいいんじゃない、という考え方です。ただ、アレルギーがあったり、具合が悪くなったらそういう時は話し合って「元気になったらお祝いしようか」と話し合える関係性を持つことが大切です。

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