春が来る~!東大寺二月堂お水取りと茶粥

2019/2/26

奈良で毎年行われる二月堂修二会の法要
今年で1268回目を数えます。
驚きですが、今日に至るまで一度も途絶えたことのない「不退の行法」です。

私が子どものころ、手がかじかむような日に「お水取りがそろそろ終わるから春が来るね」とよく耳にしました。
意味も解らず、「もうすぐ春が来るんだー」とニコニコしていたことを思い出します。

お松明は3月1日~14日まで毎日上がります。11人の練行衆が祈りを捧げます。

12日は深夜、雅楽の音が流れる中、練行衆らが若狭井(二月堂下にあるお香水の井戸)に向かいます。
それはそれは厳かです。

大人になってお料理をお伝えするようになり、健康や美味しさだけでなく、その土地の風土や文化、暮らす人と食のつながりなどを考えるようになりました。
その一つに茶粥があります。

真冬の深夜、厳しい修行を終えた練行衆も茶粥を召し上がります。

お茶は9世紀、弘法大使が唐からお茶種を持ち帰り植えたのが大和茶の始まりだそうです。

当時、大和にお茶が広まり、お米も栽培されていた背景があり、茶粥が作られるようになりました。
そして練行衆だけでなく、広く一般にも普及しました。

地域や家庭によって作り方や食べ方もいろいろあります。

私は奈良で、日常に茶粥のある風景に憧れ、いつか作れるようになりたいと思っていました。
そして、何代も食べ続けていらっしゃる方に出会い教えていただきました。

飯田むつみさんの茶粥です。

お米からほうじ粉茶で炊き上げ、さらりとしてお米の旨みとお茶の香ばしさが一体化し、あっさりしていて、味わい深く、とても美味しいです。

●茶粥(3人分)

洗ったお米1合と、8~10倍(好みで)ほどの水、お茶(ほうじ粉茶)大さじ2ほどを入れた袋(写真は手作りの木綿茶袋ですが市販のお茶パックでも良い)を炊く3~4時間前に浸けておく。(朝食にするなら前日夜に)

ふたはせず、強火にかける。
鍋の底を軽くまぜ、一旦米を浮かせる。泡が出てきたらすくいとる。
(丁寧に、ではなく2~3回でよい)

沸騰後、米が躍るぐらいの強めの中火くらいの火加減にし、10分~12分ほど。
お米がふわっと膨らんだ状態で、水分にも少し粘りが出てくるのが目安です。

火を止め1~2分置いて出来上がり。

※お茶の入った袋はお茶の出具合を見て途中で引き上げても良い。

出来上がり
お米がふっくらして、汁はさらさら。

使い込んだ茶袋(ちゃんぶくろ)4種類
家族のようですね。

素朴な味の茶粥はどんな体調の時にも受け入れらる。包容力がいっぱいの美味しさです。

お水取りも茶粥もずっと続いてほしい。人間の命より長い年月をかけ、多少の変化を繰り返しながらも続くことのすばらしさを噛みしめています。
シンプルな食べ物が、ココロとカラダを支えています。

新しいちゃん袋とほうじ粉茶。

ていねいに、シンプルに。
食べものも暮らしも、時を超えて未来にしあわせをつなぐものでありたいですね。

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