組合員活動報告

種苗法が改定されたらどうなるの?私たちの食卓に関わる種苗法&ゲノム編集の現状

2020.12.2

□開催日:2020.12.2(水)
□主催:遺伝子組み換え食品ストップネット 
□会場:オンライン(zoom)

種苗法改定が国会で審議されるに当たり、遺伝子組み換えストップネットでは印鑰智哉さんを講師にお迎えし、講演会を開催しました。

印鑰智哉さん

遺伝子組み換えとゲノム編集
2015 年から世界の遺伝子組み換え作物の耕作面積は減少し、限界にきています。新たに登場したゲノム編集技術は、正確に安全に品種改良できる技術として宣伝されています。しかし印鑰さんによればゲノム編集技術は、いわばセンサー付き手榴弾で遺伝子を破壊するような技術で、一部の遺伝子を除去し遺伝子が通常持っている能力を失わせます。技術的に未解決な問題も多く、食品に利用された場合の影響も分かりません。遺伝子組み換えと同様に遺伝子を操作した生命を環境中に放出させるべきではありません。

種苗法改定の問題点
種子法は国・都道府県が米、麦類、大豆の種子を安定的に生産することを定めていましたが廃止され、今度は種苗法改定です。本来は地域のニーズにあった政策をとるべきですが、議論されないまま改定へと向かっています。
政府は優良品種の海外流出の歯止めが目的と説明していますが、種苗生産への企業参入が最大の目的であり、主要農作物と都道府県の特産農産物、特に日本の食料保障の最後の砦とも言えるお米をターゲットにしています。
種子法廃止、種苗法改定によって巨大な農業関連企業が最も利益を得ます。既に世界の種子市場の約 7 割、農薬の約 8 割を4つの巨大企業が独占しています。
地域に根ざした食・種苗から、大企業中心の食・種苗へと移行し、消費者と生産者の関係が断ち切られ、民間企業の利益が中心のシステムに変わってしまいます。遺伝子組み換え企業から種子を買わなければ農業ができない時代がくるかもしれません。

どうすれば良いのでしょうか?
遅すぎることはありません。2018 年に種子法が廃止されたあと、種子の安定した生産を守るため多数の地方自治体が独自の条例を制定しています。世界の多くの国でも学校給食をオーガニックにする取り組みが始まり、韓国などで成功例も出ています。日本でも千葉県いずみ市などの取組みが注目を集めています。給食と地域の有機農業を結び付けることで地域の食が変わっていきます。
2023 年にはNON-GMOの表示が出来なくなります。アメリカなどで行なわれている様な代替民間認証を実現していく動きが必要になってきます。地域で環境を守って作られたものを食べる「ローカルフード宣言」を広げ、地域の農と食と環境を守る動きを創り出していくことが肝腎です。
印鑰さんからは問題点とこれから私たちが何をすべきか具体的なヒントをいただきました。

この講演会後に種苗法改定案が可決されました。農と食を巨大企業に支配されないように、一人ひとりが身の回りからできることを実行していくことが必要です。あともう一歩で変わる。1、2 年で大きく変わるという印鑰さんの力強い言葉を励みに行動に移していきたいと思います。