組合員活動報告

自然派シネマなら 2月オンライン上映会「抱く{HUG}」

■開催日:2021年2月22日
■場 所:理事会シネモプロジェクトチーム
■主 催:みらい委員会

今月は、10年前の福島の実像に追った女性監督のドキュメンタリーでした。
 映画は、冒頭から東日本大震災の津波に襲われるリアルな映像と音声が流れます。「震災の映画」と心してみたスタッフも全員が息をのむほどの緊迫感で始まりました。 「大好きな場所を、人が作った放射能で汚染したことが悲しい」 その想いから取材を重ねる監督は、事故の1か月後 福島第1原発から6キロ地点の大熊町に、その地域住民の方と一緒に入ることを決めました。その前夜には、大きな余震がおこり、津波警報に「死」の恐怖から眠れない夜を過ごす姿も映像に記録されています。
大熊町で見たのは、野生化した牛の群れや、畜舎につながれたまま餓死した家畜たち、街並みは変わらずあるのに誰一人存在しない「時間が止まった町」の姿でした。線量計が正常に働かない状況から、なるべく早く区域外に出て、小川で身体や髪を洗い流しますが、「その後数日は身体が動けない状態になった」と告げるナレ-ション。
身体に異変があったのは妊娠していたことも原因の一つ、と分かったのは10日後でした。「知っていたら取材はしなかった・・・」子どもはできないと思っていた監督にとって飛び上がるほど嬉しいことのはずなのに、現実は大きな苦悩となってのしかかってきます。放射能の胎児への影響を調べる自分も心身ともに弱ってしまい、京都に移住し出産に備えます。身体のひどい痛みに不安が募るなか、子どもの出生前検査を行うか夫婦で悩みますが “どんな状態でも全力で抱きしめていく” と決めて検査を行わず出産。映画は健康な男の子の2歳のお誕生日で終わります。
参加者から『太平洋戦争後に “こんな戦争勝つわけないと思っていた” と多くの大人が話しているのを聞いて違和感を感じていたが、映画を観てその事を思い出した』と感想をいただきました。確かに、嫌だと思ったらやはりその時に言わなければ事態を変えていくことはできないですよね。『あれから10年経ったのですね』本当に実感です。わずか70分の映画を観ただけでも、とても大きなしんどさを感じた私たちですが、福島の人たちは10年間あの日常を過ごし、これからも暮らしは続きます。そして、原発が動く限り、それは遠いどこかの話ではありません。面積の限られる地震大国の日本で、また同じことが起これば・・ まだ未来は選べます。皆で知って考えて行きましょう。