組合員活動報告

今回の選挙だけは投票に行ってほしい・・・そのわけは?

■開催日:2022年6月12日
■場 所:オンライン
■主 催:理事会(つながる)

憲法学者の中里見博さんに、今回の参院選が憲法改正の大きな分かれ目になるというお話をうかがいました。昨年の衆院選で、憲法改正に積極的な政党が2/3を超える議席を獲得しました。国民世論でも憲法改正に賛成の人が半数を超えてきており、今回の選挙で参議院でも2/3を超えると、憲法改正の発議が行われる可能性が高まります。発議されると、そこから60日~180日の間に国民投票が行われることになります。
では、憲法のどの部分を変えようとしているのでしょうか。各党がそれぞれ案を出していますが、与党で共通しているのは「自衛隊の明記」と「緊急事態条項の追加」です。自衛隊を明記する理由は「自衛隊違憲論」を解消するためで、平和主義と自衛隊のあり方は何も変わらないと説明されていますが、実際には平和主義が骨抜きになり専守防衛政策に根本的な変化をもたらす恐れがあります。緊急事態条項とは、戦争や災害など緊急事態が発生したときに、一時的に権力分立や人権を制限することでスピーディーに対応する規定ですが、それを憲法に創設することは「憲法の一時的停止」「立憲体制に対する例外」をつくり出すことになり非常に危険です。
それ以外にも、教育無償化や、環境権、プライバシー権なども提案されていますが、これら人権分野の提案はほとんどが憲法改正は必要なく、法律で対応できることばかりです。(ただ、同性婚だけは難しく、議論や法律で対応できる最大限のことをやっていく努力が必要とのことでした。)
憲法改正が必要なのは、戦争ができる国にすること、そのために人権を制約することという軍事・防衛分野です。これらが本当にわたしたちの平和なくらしに結びつくのかどうか、しっかり考える必要があります。これまで日本では「国家の非常事態である戦争では、みんな被害を受けたのだから、何らかの被害を受けてもそれは受忍(我慢)しなければならない」とされてきました。その日本で平和主義が弱まったときに、国を守って国民を守らないということにならないか不安です。
「国の偉い人に任せておけば、悪いようにはしないだろう」という変な信頼をもとに投票に行かないような態度は、憲法の精神からもっともかけはなれた態度だという中里見さんの言葉が印象的でした。分からないこと、難しいことも多いですが、それでも「わたしはこう思う」という意思表示を、選挙という場でも、それ以外の日常でも、つみ重ねていきたいですね。