お知らせ

畜産飼料高騰に対する総合施策確立の要望提出について

2023.4.11

ロシアのウクライナ侵攻や円安が大きく影響し、肥料・飼料・燃料と一昨年に比べ異常に高騰しています。

コープ自然派の生産者を含め、日本の畜産農業を営む皆さんが悲鳴をあげています。
私たちの生産者はもちろん、日本の農業を守り持続可能な社会を実現していくためにも、2月には

コープ自然派事業連合として農林水産大臣への要望を提出しました。
国は1~3月に対策を打ち出していますが、引き続き更なる対応をしてもらいたいとの思いで、

コープ自然派おおさ理事会としても要望を提出しました。

▼   要望内容  ▼

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2023年4月5日

農林水産大臣 野村哲郎 様

畜産飼料高騰に対する総合施策確立の要望

生活協同組合コープ自然派おおさか理事会

生活協同組合コープ自然派おおさかは大阪・和歌山において活動しています。これまで基本スローガン「国産派宣言」を掲げ、日本の農業を守り、食料自給率を向上させることを基本方針としました。また食と農と環境を一体として、日本の農業を守ることで、地域の食文化の継承、自然環境・生きものを守る活動をすすめています。さらに「誰もが有機農産物を食べることができる社会」をめざしています。

畜産飼料価格が高止まりしています。配合飼料価格は、ロシアによるウクライナ侵攻を受けた需給の逼迫(ひっぱく)や円安などが重なり、1トン当たり10万円程度の歴史的な高値が続いています。価格高騰の長期化は多くの生産者が懸念しており、これを直接的な要因として廃業を余儀なくされた例もすでに顕在化しています。全国の生産者が経営を継続できるよう引き続き更なる対応を以下の通り要望します。

1、歴史的な飼料価格高騰に対して実質負担を緩和する緊急的追加措置を要望します。

貴省は昨年10~12月期について、農家の実質負担が同7~9月期と同程度になるよう、配合飼料価格安定制度とは別に1トン当たり6,750円を補填する支援を、本年度予算予備費で措置しました。

しかし、配合飼料価格は2020年を100とした物価指数において、2023年1月時点で179.5と約1.8倍となっています。またこの10年間を見ると、27年1~3月期の約2倍となっており、まさに歴史的な飼料価格高騰と言えます。しかし、その一方で精肉市場相場はあまり上昇しておらず、これ以上のコスト増は畜産経営に致命傷になりかねません。緊急的追加措置として補填の増額が必要と考えます。

2、飼料価格高騰に対する新たな飼料価格安定制度の創設を要望します。

現行の配合飼料価格安定制度は、歴史的な飼料価格高騰の前では、十分機能しているとは言えません。現制度は民間(生産者と配合飼料メーカー)の積立てによる「通常補塡」(直前1カ年の平均を上回った場合に補填される)と異常な価格高騰時に通常補塡を補完する「異常補塡」(国と配合飼料メーカーが積立て、同比115%を超えた場合に補填される)の二段階の仕組みにより生産者に対して、補塡を実施しています。なお配合飼料メーカーの積立ては、飼料代に加算され、実質的には生産者が負担しています。

現状は115%どころではなく、3年間で約1.8倍となっており、異常水準となっています。また近年の気候危機による不作や各国の輸出制限を考えると、歴史的なものではなく、この状況が常態化されることも想定されます。飼料価格の高止まりに対応した、新たな飼料価格安定制度の確立が急がれます。これは経営安定交付金(マルキン)と連動させた、新たな制度の創設として要望します。

3、生産者が安心して、生産活動を行うために、生産コストに基づく適正な価格形成を促す総合施策の確立を要望します。

問題は飼料価格の高騰だけではありません。燃料・電気などのエネルギー価格、また人件費・物流費が高騰する一方、価格転嫁が進まず、畜産経営は悪化の一途をたどっています。弊協の生産者からも「このままでは畜産の担い手がいなくなる」との不安の声が上がっています。

生産者が安心して、生産活動を行うために、抜本的な制度改定が求められています。昨年11月、野村農相は生産コストに基づいて農産物の適正な価格形成を促すフランスの「エガリム法」を調査研究していると明らかにしています。日本も消費者に理解を促し、適正な価格転嫁ができる環境整備が必要となっていると思います。適正な価格転嫁を行うためには、消費者理解もさることながら価格転嫁に見合う賃上げの実施など総合施策の確立が求められています(なお「エガリム法」は1と2があり、1はオーガニック給食を推進する法律として、制定されています)。貴省が調査研究されている「エガリム法」から日本の新たな食と農のあり方が実現できるようになればと念願しており、制度の確立ためには協力を惜しみません。

以上

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