組合員活動報告

4/16 『検定で合格した教科書が変更される時』朝日新聞記者伊藤和行さんのお話

2022.8.8

[報告] ■ピースレラ

講師:朝日新聞記者 伊藤和行さん『教科書の「従軍慰安婦」記述をめぐる検定と訂正』

内容:
○自己紹介○「従軍慰安婦」記述問題の朝日新聞の報道-もとは教育面ではなく2021/4/29朝刊【政治面】だった○問題視の発端-「新しい教科書を作る会」や日本維新の会が山川出版の記述を問題視。維新の会がそれを国会に質問主意書の形で提出○(これに対して)政府が「『従軍慰安婦』という用語を用いることは誤解を招くおそれがあることから、単に『慰安婦』という用語を用いることが適切」との答弁書を閣議決定○「従軍慰安婦」という用語の今昔-現在は主に、軍や国が関与した事を否定し単なる「慰安婦」とする立場と、より事実に的確な「日本軍慰安婦」とする立場がある。○教科書記述訂正のわけ○異例の説明会-前例無し。文科省課長クラスの幹部が教科書会社に「閣議決定の説明会を開催」。圧力。不合格は経営上のダメージになるので応じざるを得ない。○教科書検定基準(検定合格の条件)-2014年安倍政権下で社会科教科書は「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解又は最高裁判所の判例が存在する場合には、それらに基づいた記述がされていること」という基準が加わった。○教科書検定規則(ルール)-もともとは誤字、誤植、脱字もしくは明白に謝りとなった事実の記載などを申請して訂正するルール。○そもそも教科書検定とは?-始まりは戦前の「国定教科書」の反省から、民間教科書会社の「創意工夫」と質の確保が目的。文科省調査官が調査、大学教授や小中高の教師からなる検定調査審議会が審査、文科相が合否判断。○学校に届くまで(採択)-不合格の場合教科書は発行できず、経営上のダメージ。採択は公立学校の場合各市町村教育委員会、私学は学校長○問題の本質は何か-2014年の検定基準改定=閣議決定すれば、政治が直接教科書の文言に手を加えられる、という具体的な先例を政府と日本維新の会で作ってしまった。文科省けしからんでは済まされない。○大切なこと-「従軍慰安婦」の文言を残したまま、政府が行った閣議決定の事実をそのまま記載する教科書会社もあり、発行者の工夫にも期待。現場教師が長時間労働など余裕の無い中、それでも教科書だけに頼らない授業に期待。家庭を含め子どもたちが日々接する社会事象への関心を持ってほしい。なかなか厳しいが、そういうきっかけになるように広く深い記事を届けていきたい。

<参加者の声>

・社会の裏側(新聞などの報道に載らない)ことをその専門家の方にお話を聞かせていただけるのが、驚くことばかりで大変参考になりました。
・現場で活動しておられる方のお話は大切ですヨネ。
・オンラインで開催してもらえるとありがたい。
・メディアにはがんばってもらいたいですが、そのメディアを支える市民、消費者の力も大切だと思います。
・自分は今まさに教科書を使い学んでいるので、今回のお話は大変勉強になりました。
・学校の先生があんなに教科書を嫌っている理由が少しわかった気がします(学校に教科書はおもしろくないから使わないと言っている先生がいたり、教科書+自作プリントでしている先生、教科書は使うけど教科書通りに話さないという先生達がいる)
・義務教育だからといって教科書をうのみにするのも怖いものだなと感じた。
・様々な人の思想に触れることができてとてもおもしろかった。又、その色々な思想を学ぶことができて良かった。

①ピース・レラの活動は大切だと思っている。仕事などで一緒に活動もできないが応援している。若者や子どもが参加したくなるイベントが増えればいいなと思っている。私たちの世代は勉強して、とりあえず大学へ行って、なんとなく働いていたら生きていけた世代だけれども、今の若い子達は違う。社会に目を向けている子も多いので。また、下宿している大学生の息子がいるのですが、オンライン開催だと参加しやすい。

②私学は検定教科書をほとんど使わないところが多い。また山川の倫理などは人気があって普通の本として書店で売っている。
 ・国民がどう動くのか、思うのかが大事だと思うので、伊藤さんが最後に書いていた大切なことが本当に大事だなと思う。
・教科書検定の実際がわかり、いかりがわいてきました。
・忙しいということでスルーしてはだめだなと思います。
・朝日新聞朝刊をとっています。1日遅れぐらいで隅々読み込んでいます。ですが、読み込んでいるせいで、日々の少しの変化に慣れてしまい、記事の枠の大きさで重要性を判断してしまったり…。
・メディアにも振り回されない、自分の軸を持ちたいです。
・マスコミが権力を監視し報道してくれるなら、市民は真実を知り、考え、投票によって政治を代えることが出来ます。ぜひ頑張ってください!
・私たち市民が参加できる部分で、教科書採択制度の話をしたかった。東大阪で9年掛けて『教育の独立を取り戻した経緯』を是非紹介したかった。