組合員活動報告

7/2 参院選直前企画!おしえて中島岳志さん

2022.9.1

【報告】コープ自然派憲法連絡会

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授の中島岳志さんに、政治の基本や選挙との向き合い方をおききしました。政治の仕事は、大きく分けて2つあります。ひとつは「お金をめぐる仕事」、もうひとつは「価値観をめぐる仕事」です。お金をめぐる仕事は、例えば税金をたくさんとって社会保障を手厚くするか(リスクの社会化)、または税金を安くして自己責任の部分を多くするか(リスクの個人化)。価値観をめぐる仕事は、例えば歴史認識、憲法、LGBTや同性婚などの問題に対して自分と違う価値観に寛容か(リベラル)、他人の価値観に介入するか(パターナル)という価値観をめぐる権力のあり方です。中島さんは、このお金を縦軸、価値観を横軸にとったマトリクス図を用いて、いまの日本の各政党の立ち位置を説明してくださいました。
例えば自民党や日本維新の会は「リスクの個人化×パターナル」なところに位置します。公明党は本来「リスクの社会化×リベラル」のはずですが、自民党と一緒に連立与党となっています。日本維新の会以外の野党はほとんどが「リスクの社会化×リベラル」で、ここを指示する人たちの受け皿になるべきですがなれていません。昨年の衆院選では野党共闘を行い一定の成果がでましたが、選挙直前に急に野党統一候補が決まるようなやり方ではなく、予備選を行って市民レベルで候補者を決めていくプロセスの実現が必要とのことでした。
中島さんが「2・5・3の法則」とおっしゃるように、選挙権のある人を大きく分けると、野党支持者:選挙に行かない人:与党支持者が2・5・3の割合となるようです。選挙に行かない5割がこのままずっと選挙に行かなければ、ずっと与党の政治が続くことになります。どの党が与党になろうと、政権が適宜交代する(しなくても交代の危機感を持つ)ことが健全な政治体制ではないでしょうか。ここに、私たちが投票率アップを望む理由があります。
そして中島さんの問題意識は「デモクラシーは投票行為だけなのか」というところにまで及びます。例えば市民が集まって問題を話し合う「熟議デモクラシー」、より直接的に声を上げていく「闘技デモクラシー」など、選挙以外の日常で政治に関与することの積み重ね、他者の意見を尊重しながら合意形成する経験の厚みが、結果的に投票率アップにもつながります。これはまさに生協がやってきたことです。憲法連絡会では、昨年に引き続き、参院選後にも「あとのまつり」を開催し、選挙や政治についてわいわい話す場を設けたいと思っています。ぜひご参加いただいて、「熟議デモクラシー」の一歩を踏み出しませんか。