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身動きが取れない環境下で家畜の飼育を行うことが一般的な日本※では、病気や感染症の拡大防止のために使用される薬剤や抗生物質の耐性菌が問題となっています。海外では「アニマルウェルフェア(動物福祉)」の法制化がすすめられていますが、日本では具体的な法整備がすすめられていないのが現状です。しかし、近年ではアニマルウェルフェアが生産性の向上や安心・安全な畜産物につながると、国が実施を推奨するようになってきています。
※たとえば養豚では、繁殖雌豚は妊娠ストールという身動きを制限された檻に入れられて肥育されることが多くあります。
さらに、「アニマルウェルフェア畜産認証」「やまなしアニマルウェルフェア認証制度」など、日本独自のアニマルウェルフェア認証創設の動きも高まってきています。このような草の根の活動に目を向け、現状を知り、取組を応援していくことが大切です。
2023年、コープ自然派はNPO法人アニマルライツセンターが開催する「アニマルウェルフェアアワード2023」で「豚賞」を受賞。自然豚の妊娠ストールフリーの取組について情報発信や生産者との連携が評価されました。 |
コープ自然派では安心・安全な食べものを追求するため、生産者と一緒にアニマルウェルフェアをすすめていきます。畜産物のオーガニック認証には、アニマルウェルフェアに基づく飼育管理の項目があります。「国産オーガニック」をすすめていくにあたっても、アニマルウェルフェアの考え方はとても大切です。
アニマルウェルフェアって?
家畜は「食べもの」ではなく、感受性を持つ「生きもの」。アニマルウェルフェアはそんな「生きもの」たちが誕生から死を迎えるまでの間、ストレスが少なく、健康的な暮らしができる飼育方法をめざす考え方をいいます。
アニマルウェルフェアの「5つの自由」
- 飢えや渇きからの自由
- 不快からの自由
- 痛み、怪我、病気からの自由
- 正常な行動を発現する自由
- 恐怖と苦悩からの自由
※イギリス政府の農用動物福祉審議会(FAWC:政府の諮問機関) によって1993年に策定された動物の「5つの自由」に基づいています。
放牧神山鶏
暑さ対策をしっかりと行い元気に育てています
今年は、日中の気温が35℃以上の猛暑日が数日間続くなど、今まで経験したことのない暑さでした。そのような中でも鶏たちが快適に過ごせるよう、送風や冷たい飲み水の給与などを行い快適な飼育環境づくりに励んでいます。鶏たちは、日中は鶏舎の中の送風機の前で羽を休ませたり、ドリンカーの冷たい水を美味しそうに飲んでいました。早朝や夕暮れ時になると鶏舎を出て放牧場の木陰で過ごし、草花をついばむなど自然体で、自由に動き回って健康にすくすくと育っています。
夏場になると、鶏たちは自身の体の体温を下げるため飲む水の量が増え、水分を多く含んだふんが床面(鶏の寝床)に増えてきます。何もしなければ雑菌が増えるため、床面が湿る前に新しい敷料を入れて、常に清潔で乾燥した快適な状態となるように保っています。
放牧神山鶏ムネ肉
やわらかく、ヘルシーなムネ肉です。
自然豚
きめ細やかな管理に取り組んでいます
豚はとても繊細でデリケートな動物であり、日々の体調管理や飼育環境のチェックは非常に重要になります。毎日朝・夕と豚舎の巡回を行い、豚の体調変化や飼育環境の状態をこまめに管理しています。必要に応じて寝床の手直しや豚舎の温度調整などをして豚の成長を支えることで、より美味しい豚肉ができると考えています。
従来の飼育方法に比べて、より自然に近い環境で豚を飼育することができる「バイオベッド方式※」により、豚はストレスが少なく自由でのびのびとした生活を送れるようになっています。
※バイオベット方式…堆肥やおがくず、もみがら、環境微生物などを配合した床材を床に敷いて飼育する方法。
自然豚モモスライス
キメの細かな赤身肉。肉そのものの味を楽しむ料理に向いています。
よつ葉放牧生産者指定ノンホモ牛乳
独自のアニマルウェルフェア基準を定めています
よつ葉乳業では、アニマルウェルフェアの取組として、“牛が心地よくストレスが少ない状態であるか、健康状態を常に把握しておくこと”が最も重要であると考えています。「よつ葉放牧生産者指定ノンホモ牛乳」の原乳を供給してくださっている忠類地区の生産者の皆さんは、よつ葉乳業独自のアニマルウェルフェア評価基準に基づき飼育をされています。具体的には、「適切な暑熱対策を講じている」「牛舎内の照度が適切である」「牛舎内に断続的な騒音がない」などといったことに気を付けています。
「よつ葉放牧生産者指定ノンホモ牛乳」は、北海道十勝で放牧をしている5戸の酪農家の生乳を使用。
乳牛の快適性にこだわった飼養管理指針の運用と継続的な国産飼料自給率の向上に取り組んでいます。
よつ葉放牧生産者指定ノンホモ牛乳
乳脂肪分を均質化するホモジナイズ処理をせず自然な風味を活かしました。
里山牛
自然放牧で、のびのびと暮らしています
牛にストレスがかからない、アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼育環境で飼育を行っています。具体的には、離農・担い手の減少により増加した遊休農地を牧野として有効活用し、放牧を行っています。牛舎を設けない自然放牧により、牛たちは自由に遊び、食べ、寝ることができます。また、毎日、朝・夕の給餌のタイミングで牛たちの状態を観察しており、えさの食いつきやケガなど想定できる範囲はすべて確認するように心掛けています。
さかうえの里山牛は地域資源を最大限に活かした放牧スタイル。
また、えさとなるデントコーンはさかうえで自家栽培しているのも里山牛の大きな特徴です。ぜひ、安心・安全な里山牛を食べてみてください!
里山牛切落し
牛丼や肉じゃが、炒めものや煮込み料理に適しています。
オーガニックたまご
鶏本来の行動欲求を尊重しています
採卵鶏は、国内ではケージ飼い飼育が一般的。羽も広げられなければ運動することもできずに一生を卵を産卵するためだけに過ごします。「オーガニックたまご」の親鶏は広々とした環境で羽を広げ自由に動き回り、鶏本来の行動欲求を満たしています。鶏はクチバシで土を掘り返す習性があります。地面が湿気ていると病気が広がりやすいため、できるだけ乾燥を促すようにしています。
飼育スタッフは鶏舎に入ると鶏たちの雰囲気を感じます。いつも穏やかな鶏たちがいつも通りか否かを感じる能力が必要となります。
オーガニックたまご
厳正な有機JAS規格をクリアした、人や鶏、環境に配慮したたまごです。
公開:2024年9月30日
商品案内29号[2024年10月3回]掲載