第10回 ついに建設へ 介護付き住宅みのり「みのり阪南」
2025/11/24
「終の住まい」の建設地を探し始めたのは介護保険法が成立した直後の1998年。あちこちの不動産業者に問い合わせたが、安くていい土地はなかなか見つからない。そこで思いついたのが「競売」だった。岸和田の裁判所でリストを見せてもらったら格安の物件が並んでいる。いつも登記手続きを頼んでいる司法書士の吉間さんに聞いてみた。「あきません、素人のやることではないです」。しかし、予算内に収まる物件はどこにもない。ええい、やるしかない。裁判所に日参、やり方を習って入札に臨んだ。会場はいかにも「プロ」と思えるような目つきの人ばかり、緊張しっぱなしの一日だった。
こうして手に入れたのが生協本部からすぐの所にある900坪の土地。理事会はどう運営するかについて次の二点を実現できるものという結論に達していた。
「一人暮しは不安だが、施設で管理されるのはいや」
「介護を受けるようになっても、尊厳を持って最後まで自由に生きたい」
名称は「介護付き住宅みのり」にすると決めて建築確認申請に取りかかったが、介護保険法は建物について何も定めていない。役所にどう説明してもこれは「共同住宅」つまり賃貸マンションという訳だ。さらに戸数以上の駐車スペースが無ければ許可は出せないと言う。「車椅子の人はいるけど車を持っている人はいませんよ」と言っても担当者は譲らない。やむなく部屋数と同じ駐車場を確保することになった。その後、建物のルールが定まったというので「共同住宅」で申請したが実態はこうですと役所に伝えた。すると「これは介護付き有料老人ホームです。すぐに変更します」あっという間に認可が下りた。

