第14回 障碍者の働く場 マジックブルーム

2025/12/19

 社会福祉法人の設立後、すぐに取り組んだのが障碍者の働く場所と住まい作りでした。障碍者が地域で暮らしていくためには二つが歩いて行ける距離にあることが必須だと考えていました。銀行の支店長に相談したら有料老人ホームの建設で関係が深まっていたこともあって、格好の土地が紹介してもらえました。例によって資金は十分ではありませんでしたが、後には引けません。解決策は生協の組合員に呼びかけて「野のはな債」(組合員からの借金)を募ること。障碍者の親や家族に特別な資金提供を頼むことは絶対にしないと決めていました。


 完成したのは「マジックブルーム」と名付けたベーカリーカフェ。のどかな田園風景の中、絵本から飛び出してきたような三角屋根の外観の店からパンの焼ける香ばしい匂いが漂ってきます。店名は西尾理事長がお気に入りの絵本「魔法のホウキ」(文と絵:C・V・てオールズバーク 訳:村上春樹 河出書房新社)をヒントに考えたもので、もちろん建物のデザインを発案したのも彼女です。

 
 「マジックブルーム」の奥半分は本格的な設備を備えたパン工房、手前は喫茶店になっています。パン焼き職人は「野のはな」の職員、喫茶店での接客やパンの包装・配達などは障碍者の仕事です。授産施設の看板は出していますが、初めての人はちょっと面食らうようです。「ここはパン屋さんじゃないの?」「喫茶って書いてあるけど・・・」。でも一度覚えてもらえばオーケー。定期的なおしゃべり会場として利用するグループも現れました。食パンやロールパンは毎日「みのり」の朝食として運ばれ、いろんな菓子パンは市役所や近隣の学校や保育所の即売会で販売されています。

ベーカリーカフェ「マジックブルーム」

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