第17回 馬を眺めながらの本格イタリアン 就労支援事業所 森の小径

2026/1/19

 貝塚市にある「森の小径」は総面積が8ヘクタールの広さがある。ここは数年前まで大阪市の所有地、西淀川区一帯の大気汚染で病んだ子どもたちの避難先としての学校と病院があった。その後、裁判を経て公害対策が進んでからはどちらも閉鎖されて荒れ放題、幽霊スポットとして名を馳せていた。大阪市から何とかして欲しいとの依頼を受けて考えたのが障碍者の就労支援事業所としての再生だった。
 

 ちょうどその時、広い敷地を有効利用して馬場を作ろうと言い出したのは古い友人の宗接氏(むねつぐ)。彼は淡路島で乗馬クラブを営んでいたが、ちょうど大阪への移転を考えていた。話し合いの末に出た結論は『イタリア料理の店をメイン事業とし、食事しながら屋内馬場を走る馬が見物できるようにする』というものだった。この奇抜なレストランは開店してすぐに大人気となり、週末は予約しないと席がとれないほど繁盛している。
 

 もう一つ喜ばれたのが薪ストーブ。広い敷地はほとんど雑木林だったので、建物を建てるには沢山の木を伐採しなければならなかった。これを無駄にする術はない。当初2年間はもっぱら巻き割りで夏を過ごした。その後、巻き割り機が導入されて今ではずいぶん楽になった。
 

 木を切って更地にした所は畑に変わり、色々な作物を作っている。人参、ピーマン、ジャガイモ、レタスなど。使う肥料は発酵させた馬糞堆肥のみ。もちろん完全無農薬栽培を実践しており、収穫物はレストランに運ばれて料理長の手で調理されて食卓へ。最近は近隣の耕作放棄された田や畑を引き受けて欲しいとの依頼が相次いでおり、2025年は初めてコメも600キロ収穫できたという。

森の小径

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