栽培法に個性キラリ!肥後あゆみの会の有機トマト
2025/7/8

訪問日:2025年4月4日
訪問者:コープ自然派商品部 田中
熊本県宇城市不知火町でトマトやかぼちゃ、きゅうりなどの有機栽培に取り組まれている「肥後あゆみの会」の澤村光大さんご夫妻を訪問しました。
訪問した日は、雲一つない晴天!
澤村さんの畑は不知火海に面した温暖な場所にあり、のどかな自然の中にビニールハウスが並んでいます。もともとは干拓地のためミネラルが豊富でトマトづくりに向いている土地柄だそうです。

澤村さんに案内していただき、いざ畑へ。
ハウスの中は緑のいい香りが漂い、マルハナバチが受粉のため飛び交っています。
ビニールハウスは花粉を運ぶ風や虫の影響が少ないので、マルハナバチの巣箱をハウス内に設置し、トマトの受粉を促しているそうです。


さっそく収穫です。
トマトは赤く色づいたものから、タイミングを見極めて収穫していきます。
色づきはじめたトマトの上には、ちいさなかわいいトマトが育ってきていました。
春トマトは穏やかな日差しでゆっくりと生長するため、甘みがあり味が濃くなるそうです。


「食べてみますか。そのままが一番おすすめです。」
澤村さんが食べごろのトマトを採ってくださいました。
その場でいただくと、実がぎゅっと詰まっていて、みずみずしくて、美味しい!
甘みと酸味のバランスが良く、濃い味がします。

おいしさの秘密をうかがうと、笑顔の澤村さん。
澤村さんは、11年前、肥後あゆみの会創始者である父、輝彦さんが30年以上かけて築き上げたノウハウを受け継ぎ、独自の有機栽培に取り組まれています。
「澤村流おいしいトマト栽培」の秘密を教えてくださいました。

まず、案内してくださったのは、ビニールハウスの中に植えてある大きな花。
「クレオメという花です。トマト栽培では、黄化葉巻病という葉が黄色く変色し、巻くように萎縮してしまう病気に細心の注意を払わなくてはいけません。病気になると、トマトの生長が止まってしまいます。一般的な栽培では農薬を散布して病気を防ぐのですが、うちでは、この花のおかげで、農薬に頼らずに栽培ができています。」

花のおかげ? 花をよく見ると、小さな虫がいます。
「タバコカスミカメというクレオメの花に棲む虫です。黄化葉巻病はタバココナジラミという害虫が原因で発症するのですが、このタバコカスミカメが退治し、病気が広がるのを防いでくれます。」

秘密はこれだけではありません。
車で移動すること10分ほど。やってきたのは工事現場? ではなく、「堆肥置き場」です。
「近くの河原で刈り取ったアシやススキなどの野草を山のように積んでいます。定期的に混ぜて、空気を入れるなどし、3年もの月日をかけて熟成させます。」

左が完成前、右が完成した澤村さん特製の堆肥です。
微生物が野草を分解し、黒い土のようになります。これを、トマトを植える前に畑全体に敷き詰めます。堆肥を撒くことで、病害虫の発生予防などに効果があるそうです。

続いては事務所の隣にある小屋へ。あたりにはぬか漬けのような香りが漂っています。
「これは、自家製の肥料です。手を入れてみてください」と、澤村さん。
肥料の中に手を入れると、なんと、あったかい!
「発酵しているから熱いんですよ。人が食べても大丈夫なくらい安全な材料で作っています。」

こちらが材料の一部。
米ぬかや魚粉、牡蠣殻、昆布、ナタネ油粕などを調合し、発酵させてトマトの肥料にするそうです。
小屋の隣にはさまざまな材料の袋が山積みになっていました。いい肥料がおいしいトマトづくりにつながるそうです。

つづいて、事務所の一角へ。たくさんの壺が並んでいます。
壺には、タケノコ、クレソン、トマトの芽など紙が貼りつけられています。
「けっこういい香りがするんですよ」と、壺をのぞき込む澤村さん。
「これは、『天恵緑汁』です。裏山で採れたタケノコやクレソン、トマトの芽などの生命力があふれる植物の生長点を含む部分のエキスを抽出したものです。」

トマトの芽のつぼをのぞかせてもらうと、中にはドロドロの液体が。
「これを500倍に薄めて畑に散布します。味見してみますか?」
いただくと、砂糖を煮詰めたような甘い味がします。
「黒糖を定期的に入れているんです。黒糖は微生物のエサになります。これを入れないと天恵緑汁がだめになって効果がなくなってしまいます」
これらのエキスをブレンドし、畑に散布することで、トマト本来の味を最大限に引き出してくれるそうです。

地元の自然のチカラを活用し、さまざまな工夫を凝らして有機トマトを栽培されている澤村さん。
父、輝彦さんから受け継いだ栽培法から、水やりや肥料をやるタイミングなどを調整し、自分なりの栽培法を、模索されています。
「こうして、時間をかけることで作物も答えてくれます。ぼくらの栽培しているやり方やこだわりがしっかりトマトの味にも含まれていると思うので、食べて感じてほしいです。もっと有機の野菜や栽培の認知を拡げていきたいです。」と、意気込まれていました。

生育は良好!
つやつやで、ぎゅっとおいしさの詰まった澤村さんの有機トマト! ぜひご賞味ください!
肥後あゆみの会の有機トマトをどうぞ


例年、11月~7月までの間、肥後あゆみの会から有機トマトを出荷していただいています。季節によっては他生産者からのお届けになる場合があります。生産者情報をご確認ください。