• 生物多様性
  • コープ自然派だいすきキャンペーン2021秋

コープ自然派は生きもの豊かな田んぼを拡げ、全国にコウノトリの郷をつくることをめざしています。コウノトリは生物多様性の豊かさを示す代表的な鳥です。兵庫県豊岡市での野生復帰の取組がすすみ、年々野外コウノトリの個体数は増加。それに伴い豊岡市以外での繁殖が確認されるようになってきました。

今後さらにコウノトリの野生復帰をすすめていくには、コウノトリのえさ場、つまり生物多様性が豊かな環境を作っていくことが大切です。コープ自然派では生産者とともに段階的に農薬を減らしていく環境創造米の取組をすすめています。

無農薬米の実現へ向けたステップアップ! !

Step1 ネオニコ系農薬を減らしていくお米

段階的に農薬を減らしていけるように、生産者と取り組む最初のお米です。

  

ビオトープ米

  

地域全体として生物多様性を保全し、コウノトリが一年中暮らせる環境をつくることをめざしています。

Step2 省農薬米

コープ自然派が定めたネオニコ系農薬を含む、優先排除農薬・問題農薬を排除。種籾の消毒もネオニコ系農薬を使いません。

  


Step3 無農薬米

栽培期間中、化学合成農薬を一切使用せずにつくったお米です。地域全てのお米が無農薬になることを目指しています。

  


みんなで取り組む豊かな環境づくり
「環境支払いカンパ」

2020年度は約655万円のカンパが集まりました!

コープ自然派では、2010年から組合員さんと生産者の協力のもと、冬水田んぼの取組をすすめてきました。コウノトリやナベヅルの飛来地づくりには、えさ場や休息地となる、生きもの豊かな環境が必要だからです。

実際にナベヅルやコウノトリが生産者の田んぼへ飛来することもありましたが、冬水田んぼに取り組む時期は次作へ向けた準備期間と重なり、収穫量や食味に影響が出てくるという課題がありました。

※冬水田んぼは、お米を作らない冬の間も田んぼに水を湛えて自然に戻し、田んぼの周辺環境の生態系を豊かにする取組です。

課題を解決するには…
ビオトープや巣塔をつくる!

一年を通じた水場(えさ場)をつくり、お米づくりに影響がでないように耕作放棄地を使ってビオトープをつくる取組に変えていこうと計画をすすめています。

  

田んぼに水がある時期は田んぼで、収穫から田植えまでの時期はビオトープでコウノトリが過ごすことをめざします。

  

徳島県でビオトープづくりをすすめている
「とくしまコウノトリ基金」

とくしまコウノトリ基金は、コウノトリをはじめとする希少鳥類の保護と、豊かな自然を活かした地域農業や地域経済の活性化を目的に様々な取組を行っている団体です。コウノトリ野生復帰の実現のために営巣場所の確保やビオトープの設置・管理を行ったり、農産物や加工品の開発、エコツアーの企画など行っています。

 
2020年からは「お酒を造るプロジェクト」を地域の酒蔵である松浦酒造場と取り組みはじめ、「コウノトリの酒 朝と夕」を販売。このお酒にはコウノトリの「あさひ」と「ゆうひ」のペアが子育てする巣の近くの田んぼで育てられた、農薬を減らした酒米が使われています。

  

とくしまコウノトリ基金を視察 (2021年8月12日)

ビオトープがある場所は、徳島県鳴門市で繁殖しているコウノトリの巣の近く。辺りには蓮根畑が広がっています。

訪問した日はあいにくの雨で、コウノトリに会うことはできませんでしたが、カエルの鳴き声や野鳥の姿から生きものがたくさんいることが連想できました。また大学の学生と生きもの調査なども行っており、川から水を引くときに卵などが一緒に入り、生態系を豊かにしているなどの話も伺えました。

ビオトープは手入れしなければ様々な植物がいつのまにか育つそうで、試行錯誤の繰り返しだとおっしゃっていましたが、流域治水の場としても注目されており、鳴門市との取組も始まっているそうです。徳島県鳴門市からコウノトリの野生復帰と地域の活性化にむけて取り組んでいるコウノトリ基金との連携をこれから検討していきます。


徳島県のナベヅルとコウノトリの確認数

とくしまコウノトリ基金、日本野鳥の会徳島県支部の協力のもと、徳島県のナベヅルとコウノトリの個体数をグラフにしました。徳島では2017 年から5 年連続でコウノトリの繁殖に成功。今年は3 羽の新しい命が巣立ちました。

ナベヅル

●大きさ

  

全長約91~100㎝、翼開長160~180㎝、

雄で3.3~4.9kg、 雌3.4~3.7kg

  

●食べもの

  

食性は雑食で、植物の根、昆虫、両生類などを食べる。越冬地では、田んぼの刈跡でイネの二番穂を採食する。


コウノトリ

●大きさ

  

全長は約110~115㎝、翼開長160~200㎝、

体重4~6㎏

  

●食べもの

  

主にザリガニなどの甲殻類やカエル、魚類を捕食する。多くの餌を必要とし、生態系が豊かなところでないと生きていけない。

田んぼの役割

日本の原風景ともいえる田んぼは、お米を作るだけでなく、さまざまな役割をもっています。お米を食べることが日本の環境や、伝統文化を守り、食料自給率の向上、持続可能な農業へとつながります。

生きものを育む

田んぼには独特の生態系があり、数多くの生きものを見ることができます。カエル、クモ、トンボ、メダカ、ドジョウや様々な草花、ミジンコやイトミミズといった小さな生きものまで、その数なんと5668種類!(※)コープ自然派では組合員活動として、各地域で田んぼの生きもの調査を実施しています。

※JA全農発行「田んぼの生きもの調査」より



文化を育む

日本には縄文時代後期に伝わった稲作。古来より日本人は稲を神様からの恩恵と受け止めており、稲が安らかに実り、豊穣を願うために季節ごとにお祭りが行われてきました。今もそれぞれの地域でお祭りが開かれています。また、「みの」や「わらじ」のように道具として、正月飾りの「しめ縄」など、稲作からたくさんの日本の文化が生まれてきました。

環境を守る

洪水を防ぐ

田んぼは、大雨のときに雨水を一時的に貯留し、その後ゆっくりと川に流すことができます。一度に川に流れる量を減らすことが下流域の洪水の軽減につながります。

きれいな水をつくる

田んぼでは水中や土の中の微生物が有機物を分解しています。水が常に溜まっている状態のとき、水は土の層を通り地下に送られています。水は土の層を通過するときに濾過され、この一部は地下から湧き出して川へ戻り、一部は地下水となっています。

地球温暖化防止

水が蒸発するとき、周りの熱を奪います。田んぼの水の蒸発、また稲が葉から蒸散することで、周囲を冷やす機能があります。また稲は植物なので光合成で二酸化炭素を吸収し土の中に固定します。

コープ自然派だいすきキャンペーン開催中

「ごはん一杯から未来をつくる!有機の田んぼを拡げよう」をテーマに、コープ自然派は一体となって様々な取組に挑戦しています。紹介動画や各生協でのイベント、フレンドが手に入る投稿キャンペーンなど盛りだくさん!

公開:2021年9月27日
商品案内28号[2021年10月2回]掲載

生物多様性の記事一覧

コープ自然派だいすきキャンペーン2021秋の記事一覧