我が家の調味料三種の神器「三州三河みりん」

2018/4/9

味(舌)の記憶って、母から受け継いできたのだなーってなぜかって?

母は82歳、昨年4月に両足の膝に人工関節を入れる手術をしました。約3週間の入院生活を過ごす中で、私の顔を見るたび「あぁ、新玉ねぎは食べたけど、新キャベツはまだ食べてなかったわ。豆ご飯も食べたいけど、退院する頃にはもう食べられないかも」とつぶやきます。

長生きするよ、母さん!
私は心の中で、いえ、思わず声にしていました。

見舞いに行く度に母の食べたいものリストを聞かされながら、あぁこの人はほんとうに食べることが好きで、食卓に並んでいた料理は彼女の好物で占められていたのだと、今更ながら気づいたのです。

私のためではなかったのね、母さん(笑)

そんな食いしん坊な母の台所には一升瓶の醤油と本みりんがいつも鎮座していました。

いまのように900mlなんてなかった時代です。
酒屋さんが配達してくれました。当時はね。

そう、サザエさんちみたいに。

当時、小学生の私は、みりんがどのように造られているかなど知るよしもなく、もちろん興味もなく、母が選ぶもの=世の中の常識と思っていました。

なので、後に学校の調理実習でみりん風調味料を知ったときには、その差もよくわからずに、えらい色がうすいなーとかのんびり思っておりました。

20代になっても本みりん=高い、みりん風調味料=安いというくらいの認識でした。

わが家=あっ、一応結婚をして、いまはバツイチシングルマザーで二人の子持ちです。

しかし、しかしですね、みりんの本格派に出会ってしまったのです。

それが、角谷文治郎商店の三州三河みりんでした。

私が角谷文治郎商店の三州三河みりんを使い始めたのはコープ自然派おおさかの前身である共同購入会の組合員になってから。

当時、“良い食品をつくる会”で角谷文治郎商店の三州三河みりんが紹介されていて、手に入れたくても身近に販売している店舗がなく、そんなときに紹介されて入ったコープ自然派(前身である共同購入会)で扱っていると知りとても嬉しかったことを覚えています。

初めて手にした頃は、伝統的な手法で醸造された三州三河みりんと本みりんの違いをまったく理解していませんでした。

ごめんなさい。

もちろん、製造方法が全く違うとあとで知るのですが・・・
ゆっくりと発酵させ、ゆったりと熟成されたみりんならではの甘味は、雑味がなく、まろやかな味に料理が仕上がるから驚きです。

いまも角谷文治郎商店の三州三河みりんを手に入れたくて組合員になる方が多いそうですよ。

角谷文治郎商店はみりんの本場、愛知県の三河地方で1910年に創業した老舗。当代の角谷利夫さんで四代目。

自前の焼酎の中にもち米と米麹を仕込み、常温で2~3ヶ月糖化熟成させた後、さらに1年以上熟成させるそうです。
市販の本みりんが糖類、アルコールで増量し2~3ヶ月でつくられる中、このような天然醸造・本格仕込みという伝統的なつくり方を守るメーカーは少ないそうです。

焼酎を醸造するところから、そこからでしたか!

料理に使うときは、あえて香りを嗅ぐこともなくお鍋に投入してしまうのですが、こうして器に注いでみると熟成した香りはリキュールそのもの。
そう言えば、お正月のお屠蘇はみりんに薬草を入れたものですよね。

手間を惜しまないからこの黄金色になるのですね。

もちろんちょっとお値段ははりますが・・・

やはり調味料にお金をかけるというか、料理をおいしくするための投資は必要だというのが私の持論です。

食材は旬のものを安く手に入れて、本物の調味料を使って料理をする。
これって家庭料理ならではの贅沢。
そして子どもの味(舌)の記憶をつくる、第一歩だと私は信じています。

余談ですが、
みりんは甘味を加えるだけでなく、じゃがいもなどの煮崩れを防ぐとも言われています。だからわが家ではカレーやクリームシチューなどの仕込みなど煮込み料理にも入れちゃいます。

▼うちのにゃんこも興味津々ですぅ

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